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出張講義

奈良女子大学理学部では、自然科学の基礎研究の最先端を研究者自らがわかりやすく紹介する 出張講義 を行っています。

今まで興味があったが聞く機会がなかった、奈良女の理学部でどんな研究がされているかわからなかった、という方々のために、理学部の教員が「どんなことを研究しているか」「どんな話ができるか」をまとめました。
出張講義を希望される場合は、「出張講義申込書(様式)」にご記入のうえ、奈良女子大学学務課理学部係(ri.jimu@cc.nara-wu.ac.jp)にメールにてお送りください。その他ご要望等ありましたらお気軽にお問い合わせください。(TEL 0742−20−3428、FAX 0742−20−3234)
講義内容については下記を参考にご相談ください。
なお、共同研究のご相談は社会連携センターが窓口となっておりますので、こちらもぜひご利用ください。

数学コース 出張講義

対称性の数学 松澤 淳一 [教授]
 モザイクの模様などに見られる対称性の美しさは、古来多くの人々に愛されてきました。正多面体などの模型の製作体験を通じて、このシンメトリーの世界を紹介します。
天気予報と数学 柳沢 卓 [教授]
 毎日我々が身近に接している天気予報において、どのような形で数学が使われているのかについて解説する。更に、天気という現象の解析を行う中で提起された新たな数学的課題についても触れたい。
遊びの中の数学 柳沢 卓 [教授]
 古来より人々は、遊びを通して数学に親しみ楽しんできた。この講義では、古今東西の数学に関わる遊びの例をいくつか紹介する。その中で、「文化としての数学」への理解を深めていってほしい。
地図の塗り分け 片桐 民陽 [准教授]
 平面上の地図を塗り分けることを考えます。きれいに塗り分けるために、境界線を共有する国は異なる色で塗ることとします。必要な色の数はどの位でしょうか?単純に考えると、地図が複雑になればなるほど必要な色の数は増えるような気もします。地図の塗り分けについて、歴史的な話も含めてご紹介したいと思います。
トポロジー ― やわらかい幾何学 村井 紘子 [准教授]
 高等学校までの幾何学では図形の「合同」「相似」という概念を学びます。「合同」とは大きさも形も同じものを“同じ”とみなし、「相似」とは大きさに捉われずに形が同じであるものを“同じ”とみなす概念ですが、大きさにも角度にも捉われずに三角形も四角形も円も“同じ”とみなす、トポロジーという分野があります。このような分野では一体何が問題になり、どのように考えたらいいのでしょうか。比較的新しい分野であるトポロジーの考え方を直感的に学びます。
関数の大きさを比較する (いろいろな不等式を素材にして) 森藤 紳哉 [教授]
 この時間では、関数の大きさを積分を用いて比較することについてお話ししたいと思います。古くからよく知られ、現在にいたるまで大いに使われている不等式のいくつかを、ハーディー、リトルウッド、ポリア3人の数学者による名著「不等式」をもとにご紹介したいと考えています。コーシー、シュワルツ、ヘルダー、イェンセンなどの名前が冠せられる不等式が中心になりますが、多くの不等式のいわば横のつながりといったようなものを強調したいと考えています。また、積分と申しましても、数列の形で書かれた不等式と同じことが多いので、これらを並列的にお話ししたいとも考えています。
確率から確率論へ 篠田 正人 [教授]
 「確率」は天気予報やギャンブルなど多くの身近な話題と密接につながっているだけでなく、数学の研究としても色々な面白い問題を含んでいる。中学・高校で習う確率の問題からどのように研究レベルにまでつながっていくかを、具体例を通して講義を行う。
確率の話 嶽村 智子 [准教授]
 「確率」という言葉はどこかで耳にしたことがあるかと思います。身近にある事を題材に確率計算の始まりや高校数学から少し発展した内容を紹介します。確率をもっと身近に感じてもらえるようお手伝いできればと思っていま す。 確率の代表的な定理である大数の法則・中心極限定理についても触れたいと思います。
無限級数 梅垣 由美子 [教授]
 極限を論じる方法は数学に不可欠です。その論法を紹介し、オイラーの無限解析のもたらした恩恵を紹介します。
結び目の数学 張 娟姫 [准教授]
 日常でもよく触れる「結び目」は、実は数学の研究対象にもなります。結び目が「ほどけるかどうか」または「同じかどうか」を調べるのは結び目理論の重要な目的の一つですが、そのために数学がどのように使われるのか、わかりやすく紹介したいと思います。
大きなことから優先する考え方と筆算の計算について 稲場 道明 [教授]
 物事を決めるときは、大きなことから優先するのが普通です。例えばショッピングセンターでは、売り上げの多い休日の販売には力を入れていると思います。 一方、小学校で習う筆算の計算方法は、足し算にしても掛け算にしても一番小さい1の位から計算します。特に大雑把な値のみを知りたい場合、筆算の計算はある意味でどうでもいいところから計算を始めていることになります。これを大きなことから優先していると捉え直す数学の考え方を説明してみたいと思います。


物理学コース 出張講義

放射線とイオンビーム 石井 邦和 [准教授]
 この講義では放射線や放射能といった言葉を整理し、シーベルトやグレイといった放射線関連の単位系を中心に講義を行います。また、放射線が人体にとって危ないということだけではなく、人類の近代生活にとって非常に有用であることについても解説したいと考えています。可能であれば、本学に設置されているペレトロン加速器を見学して頂くと共に、現在我々が行っているイオンビームを用いた研究の紹介をします。
素粒子論の世界 高橋 智彦 [教授]
 物質をつくる最も基本的な粒子を研究する素粒子物理学は、ニュートリノやヒッグス粒子の研究を通じて未知の物理法則に迫ろうとしています。さらに素粒子が「ひも」だとすれば、この宇宙がなぜ存在するのかもわかると考えられています。このような研究を踏まえながら、南部、益川、小林博士が大きな貢献をされた素粒子論の世界についてお話したいと思います。
原子核とハドロン: 強い相互作用をする粒子の物理学 比連崎 悟 [教授]
 世の中に存在する物質を構成する原子の中心にある原子核は、強い相互作用(いわゆる核力)で束縛されている。この原子核を構成する陽子や中性子を始めとして、強く相互作用する粒子はまとめてハドロンと呼ばれ、多くの興味深い性質を持っている。
 本講義では強い相互作用をするハドロンの物理学を基礎から現代の話題まで含めて概観する。
素粒子を捕らえる・調べる 宮林 謙吉 [教授]
 物質の最も基本的な構成要素のことを素粒子と呼びます。その実験研究をするには、素粒子を捕らえる技術=粒子検出器の技術が不可欠です。 それについて、可能ならば粒子検出のデモ実験を交え講義するとともに、講師が実際に従事している素粒子の国際共同実験とその成果について紹介します。
X線で観る宇宙 山内 茂雄 [教授]
 果てしなく広がる宇宙はどのような世界なのでしょうか、そしてどのような進化を経てきたのでしょうか。また、極限状態にある宇宙ではどのような現象が起こっているのでしょうか。宇宙物理学はこれらの謎の解明を目指しています。宇宙の観測では主に電磁波を使って行いますが、このうち、X線を使って宇宙を観測するのがX線天文学です。波長が短いX線は大きなエネルギーを持つ電磁波であるため、宇宙における高エネルギー現象の現場を探るのに適しています。これまでに行われたX線天文衛星を用いた精密観測により、様々な天体における熱的、非熱的現象をとらえ、活動的な宇宙の姿を明らかにしてきました。本講義では、宇宙物理学の特徴と基礎知識、およびX線観測から明らかにされてきた宇宙の姿を紹介したいと思います。
電子回路入門〜音楽プレーヤーから大型素粒子実験装置まで〜 宮林 謙吉[教授]
 音楽プレーヤーやスマートフォンなど、デジタル化した音楽や動画を再生して楽しめる機器は身近になりました。これらが音楽を奏でるときにオームの法則や電磁誘導など基本法則として学習することはどのように働いているか、音楽や映像をデジタル化するとは何のことを言っているのか、音楽プレーヤーと比べて素粒子を研究するための大型実験装置では何に苦労するのか、それでも挑戦して知りたいことは何なのか、について講義します。
自然界のパターン 〜形のでき方と動き方の物理学〜 狐崎 創 [教授]
 物理の対象が、分子運動や熱を扱う熱力学、統計力学からスタートして、分野の垣根を超えて化学や生物、地学などを含むいろいろな対象に広がり、様々な構造やパターンを調べる研究につながっていることを講義します。講義では樹枝状のパターンを観察する簡単な実験も併せて行います。
物質科学の世界:超伝導の不思議 土射津 昌久 [准教授]
 私たちの身近な自然には不思議なことであふれています。自然科学を学ぶことで、世の中の自然現象の美しさ・不思議さを、よりいっそう明確に理解できるようになります。超伝導をとおして、物質が示す多彩な性質が、いかに魅力的であり、それがどのように理解されるのか、現在の研究の第一線の雰囲気をあわせてご紹介します。
巨大加速器で作り出すビッグバン〜見えない物質、見えない偏見との戦い〜 下村 真弥 [准教授]
 私がやっている研究、高エネルギー原子核衝突実験でのクォークグルーオンプラズマについての研究の内容や、女性研究者としての人生と、育児と研究の両立について、及び男性の関わり方についてのアドバイス等についてお話できます。


数物連携コース 出張講義

対称性の数学 松澤 淳一 [教授]
 モザイクの模様などに見られる対称性の美しさは、古来多くの人々に愛されてきました。正多面体などの模型の製作体験を通じて、このシンメトリーの世界を紹介します。
強いコンピュータ将棋・囲碁プログラムを作るための数学 篠田 正人 [教授]
 将棋や囲碁は、ゲーム局面のパターンがあまりにも多いことから、強いコンピュータプログラムを作ることが困難だと言われていました。しかし21世紀に入り、コンピュータの性能向上に加えプログラムの改善により劇的に強くなり、人間のトッププレーヤー以上の強さに達しています。こうしたプログラムのために使われている数学をわかりやすく紹介します。
物質科学の世界:超伝導の不思議 土射津 昌久 [准教授]
 私たちの身近な自然には不思議なことであふれています。自然科学を学ぶことで、世の中の自然現象の美しさ・不思議さを、よりいっそう明確に理解できるようになります。超伝導をとおして、物質が示す多彩な性質が、いかに魅力的であり、それがどのように理解されるのか、現在の研究の第一線の雰囲気をあわせてご紹介します。


化学コース 出張講義

ナノコロイドの化学と身近な界面現象 吉村 倫一 [教授]
 牛乳や泥水などのコロイドは、固体や液体などの粒子が他の媒体(固体、液体、気体)に分散した系で、1〜1000ナノメートルの大きさです。「ナノ」サイズのコロイドは、肉眼ではもちろん、光学顕微鏡でも見ることはできません。この「ナノ」サイズのコロイドを観る・測るには、2017年にノーベル化学賞を受賞して注目されたクライオ電子顕微鏡や世界的に有名な大型放射光施設SPring-8にあるX線散乱装置などを用いるのが最先端の方法です。本講義では、これらの「ナノ」に関する解説と、高校の化学では暗記になりがちなコロイドを、私たちの身の回りにあるさまざまな「界面現象」とともに実演を交えながら最先端の研究も含めて紹介します。
化学における乱雑さ〜物質の状態の変化と分子の動き 衣川 健一 [教授]
 物質の状態の変化(例えば、相変化、化学反応)の方向は、物質中の原子・分子の力学的エネルギーのトータルの変化量と「乱雑さ(エントロピー)」の変化量の2つの要因で決定されるが、これを物質中の原子・分子の運動をもとに微視的なレベルから考察してみる。
シュレディンガー方程式による分子の探求 太田 靖人 [准教授]
 電子や原子核といった微視的粒子を主な対象とする量子力学を最初に紹介します。量子力学の基本方程式であるシュレディンガー方程式(微分方程式)の解が分子の世界の探求にどのように用いられているかを講義します。
持続可能な有機合成とは? 浦 康之 [教授]
 ある有機化合物(炭素を主に含む化合物)から、化学反応によって、異なる構造をもった有機化合物を作ることを有機合成といいます。例えば、身近にあるプラスチック、合成繊維、医薬品、洗剤、電子機器部品などに含まれる有機化合物は有機合成によって作られています。近年は地球規模での環境問題が山積していますが、そういった問題への取り組みのひとつとして「持続可能な有機合成の実現」が挙げられます。できるだけ環境に調和するような、持続してゆくことができる有機合成とはどういったものでしょうか。私たちの研究成果も交えながらお話しします。
ものづくりを支える分子化学?新しい分子が世界を変える? 片岡 靖隆 [教授]
 私達の豊かな生活を支えているのは、私達人類が人工的に作りあげた物質(もの)です。その「もの」をつくる技術とは何か、そして、いま求められているものづくりとは何か、について、有機合成化学の視点から解説します。
鏡あわせの分子 松本 有正 [准教授]
 分子にも右手と左手のように、一見同じ化合物のようでも鏡あわせの関係になるものがあります。なぜ分子に左右の非対称性が生まれるのか、また鏡あわせの分子はどのような特徴を持つのか、我々の生活にどのような影響を持つのか紹介します。
分子サイズの磁石をつくる 梶原 孝志 [教授]
 私達の生活の中にはモーターやコンピュータのハードディスクなどで様々な磁石が活躍しています。ネオジム磁石など強力な磁石がHVやEVの発展を支えていますが、一方で、とても小さな磁石が記憶媒体の高密度化に貢献しています。本講では究極に小さな磁石である「分子サイズの磁石」の設計と合成について紹介します。
分子が光を吸収すると何が起こるのか 高島 弘 [准教授]
 太陽光をはじめとする光は、私たちの身の回りでの環境や燃料に関わる諸問題の解決、生活を豊かにする製品の製造、通信や医療分野にも使われており、その活用の重要性が高まっています。この講義では、高校で学習する化学・物理の内容をもとに、分子が光を吸収し変化する基本的な仕組みについて紹介します。
水素社会の実現に向けて―水素を二酸化炭素を利用してギ酸に貯蔵し、ギ酸から水素を生成する 中島 隆行 [教授]
 水素がクリーンな二次エネルギーとして注目されていますが、水素は常温常圧で気体であり、酸素との反応性も高いので、安全に運搬・貯蔵することが難しいといった欠点もあります。その解決策として水素を有機分子に見かけ上取り込み、必要に応じて水素を取り出すことができる水素キャリアに注目が集まっており、その候補の一つにはギ酸があります。そこで、水素をギ酸として貯蔵したり、ギ酸から水素を取り出したりする触媒反応についてお話しします。
化学の力で生命を見る 藤井 浩 [教授]
 生命現象はタンパク質が駆動する化学反応とみることができる。したがって生命現象の本質は、タンパク質や酵素が働く仕組みを分子のレベルで解明することで理解でき、それは化学者によってなされている。生命を支えるタンパク質や酵素の世界を分子(化学)の立場から紹介する。
酵素や微生物の機能を利用した水素生産 本田 裕樹 [准教授]
 酵素や微生物といった生体触媒は、温和な条件で高選択的かつ高効率に化学反応を進行させる優れた触媒です。この生体触媒の機能を巧みに利用するバイオ技術の発展は、持続可能な社会の実現といった地球規模の課題解決に貢献します。「水素」「光と光触媒」「生体触媒」といった私の研究のキーワードを交えながら、バイオ技術を用いたものづくり、とくに生体触媒を用いた水素生産への取り組みを紹介します。


生物科学コース 出張講義

微生物学 岩口 伸一 [准教授]
一般的な微生物学、あるいは酵母・カビのはなし
出前実験 岩口 伸一 [准教授]
教育的遺伝子組み換え実験。 分子生物学の基礎

【備考】 要実験経費
フジツボ類が魅せるさまざまな寄生の手管 遊佐 陽一 [教授]
 フジツボ類は、体の外側に殻を作って、岩や流木などに着生している海の甲殻類(エビ・カニの仲間)です。フジツボ類には特定の生物(ホスト)に着生している種も多く、ホストとの間にさまざまな関係を築いています。ホストは着生基盤としてだけでなく、隠れ場所・餌・育児の手段などさまざまな方法でフジツボ類に利用されています。その多様な手管について、スライドやビデオを交えてご紹介します。
光合成するウミウシ 遊佐 陽一 [教授]
 動物は光合成しないというのが常識ですが、ウミウシの中には、餌の海藻から葉緑体を取り込み、光合成に利用する種類がいます。盗葉緑体と呼ばれるこの現象は、生物の歴史で過去に数回起こっただけとみられる細胞内共生を一部再現しており、世界的に注目を集めています。ウミウシにとって葉緑体を盗むことにどのような意味があるのか、その能力によって何が可能になるのか、人との関わりなどについてお話しします。
草は踏まれてどう変わる? 酒井 敦 [教授]
 道端や草地にはいろいろな植物が生えていて、我々ヒトや(奈良なら)シカ、行き交う車などに踏みつけられてしまうこともしばしばです。踏まれた草は小さくなってしまいますが、悪いことばかりでもないようです。小さくまとまったおかげで体の隅々まで十分に栄養がまわり、葉っぱの光合成能力が高くなるようなのです。この講義では、奈良県のシカとササの関係を調べていて見えてきた、踏み付けと光合成の意外な関係を紹介します。
植物の「免疫」 酒井 敦 [教授]
 植物は病原体の感染に気づくと、感染された付近の細胞が「自殺」して感染の拡大を防いだり、離れた場所でも抗菌物質を作ったり、感染に素早く反応できるように準備したりして、二度目の感染の被害を小さく抑えることができます。私たちの研究室では、そんな植物の「免疫」の仕組みを調べるための「モデル実験系」をつくりました。その実験系を使って見えてきた、「自殺する細胞」の仕事ぶりを紹介します。
細胞の中の小さな細胞、ミトコンドリアと葉緑体の「核」のはなし 酒井 敦 [教授]
 我々の細胞の中にはミトコンドリアという細胞小器官があって、細胞呼吸を司っています。植物の細胞の中にはそれに加えて葉緑体という細胞小器官があって、光合成を営んでいます。これらの細胞小器官は、もとは独立して生活していたバクテリアの末裔で、いまだに自分自身の遺伝子DNAをしっかり持っています。このDNAはどんな形をしていて、どんな風にはたらいているのでしょう?細胞の進化の様子を交えて紹介します。
植物と水のはなし 奈良 久美 [准教授]
 地球上の生物は、水がなくては生きていけません。水は様々な溶質を溶かし、全ての生命現象がおこる場を提供しています。植物にとっても、水は、光合成の材料として、または細胞の成長や形(膨圧)を保つため、さまざまな無機養分や糖を溶かして運搬するために、とても大切です。そんな大切な水をどうやって植物は吸収し、必要な場所へ運んでいるのでしょうか?植物の水の輸送のしくみを、水チャネル(アクアポリン)のはたらきにも触れつつ、わかりやすくお話しします。
奈良公園にみる刺だらけのイラクサの進化 佐藤 宏明 [准教授]
 奈良公園のイラクサは他地域のイラクサと比べると、異常とも言えるくらい葉や茎に多数の刺毛を備えています。このような奈良公園特有のイラクサの進化には、奈良公園一帯で1200年も手厚く保護されてきたシカの存在が係わっています。講義では、どのような過程を経て刺だらけのイラクサが進化したのか、自然淘汰による進化の観点からお話します。
モデル生物 線虫 *Caenorhabditis elegans* (*C. elegans) *の世界をのぞいてみよう 堀 沙耶香 [准教授]
 モデル生物 線虫は、神経細胞の発生系譜、配置、シナプス数、シナプスネットワーク、発現している遺伝子がすべてわかっている、唯一の多細胞生物です。体長1mm、神経細胞はわずか302個の線虫を研究することで、何がどこまでわかるのでしょうか?モデル生物線虫の神経・行動研究の最前線と産業応用例について、解説します。
【出前実験】モデル生物 線虫 *Caenorhabditis elegans* (*C. elegans) *の世界に触れてみよう 堀 沙耶香 [准教授]
 顕微鏡を使って、実際に生きた線虫 *C. elegans *を観察します。雌雄同体と雄で、どんな行動が見られるでしょうか?好きな匂い、嫌いな匂いはあるでしょうか?倒立顕微鏡があれば、Sulston博士がノーベル賞を受賞した実験である、胚発生の観察も可能です。注)出前実験は、遺伝子組み換えなどの規制にかからない株・条件で実施します。


環境科学コース 出張講義

環境科学における数理的手法 高須 夫悟 [教授]
 地球人口の急激な増加、伝染病の世界的流行、石油資源の枯渇といった問題が社会的に注目されるようになって久しい。本講義では、人間を取り巻く環境一般における様々な問題を数理的手法を用いて概観する。抽象的かつ簡潔な数理モデルを解析する事で、こうした問題への対処法について議論する。
フラクタル入門 高橋 智 [教授]
 リアス式海岸線などのように大きなスケールから小さなスケールまで同じように複雑な図形として「フラクタル」と呼ばれるものがある。この授業ではさまざまなフラクタルの例、フラクタルの性質、およびフラクタルのつくられるしくみについてパスカルの3角形との関係を中心に述べていく。
宇宙から地球の観測 村松 加奈子 [教授]
 地球の陸域の植生、土地の被覆状態、その変動等を人工衛星データを用いて観測する手法の原理と観測例を紹介する。(状況が許せば、地表の様々な物質の分光反射率測定の実験付き)
光と大気環境 久慈 誠 [准教授]
 大気中に浮遊する微粒子は、地表面に届く日射を遮ったり、視程を悪化させたりする事により、大気環境に大きな影響を及ぼすことについて説明します。さらに、ポータブルタイプの機器を用いて、大気微粒子の観測実習を行います。
水辺環境を整えて外来種を制御する 遊佐 陽一 [教授]
 田んぼやその周りの水路や小川などは身近な水辺ですが、そこでは外来種の侵略がたいてい起こっています。外来種はどのような環境に侵入しやすいのか、それを防ぐにはどのような環境を作り出せばよいのか、などについてスクミリンゴガイ(ジャンボタニシ)を例にしてお話しします。
植物たちの化学戦争(?)「他感作用」のはなし 酒井 敦 [教授]
 植物はとてもたくさんの種類の化学物質をつくります。その一部は環境中に放出され、さらにその一部は他の植物の生長や分化に影響を及ぼします。こうした、化学物質を介した植物間の相互作用を「他感作用」といいます。この講義では、植物たちがどうしてそんなにいろいろな化学物質を作るのか、どうやって環境中に放出されるのか、どうやって他の植物に影響を及ぼすのか、どうやってそれを調べるのか、等を紹介します。
光と植物の形 奈良 久美 [准教授]
 光は植物にとって大切なエネルギー源です。もし光がなかったり弱かったりしたら、植物は光を求めて上へ上へと伸びていきます。その結果、暗いところで育った植物はひょろ長いモヤシのような形になります。逆に十分な光があれば、茎が太く短く、大きくて緑色の葉をもつような形に成長していきます。また、光の有無は、地下部の根の形にも影響します。このように光によって植物の形が変わる仕組みについて、フィトクロムなどの光受容体のはたらきに注目して、解説します。
昆虫の不思議な生態 佐藤 宏明 [准教授]
(1)ファーブル昆虫記で有名なタマオシコガネ(俗称フンコロガシ)の生態をアフリカでの私自身の研究に基づき、現代の行動生態学の成果を踏まえ講義する。
(2)幼虫期に葉に潜って葉組織を摂食する蛾の生態を、植物との相互進化の観点から講義する。 
大台ヶ原の原生林の衰退とニホンジカ 佐藤 宏明 [准教授]
 奈良県大台ヶ原では、1980年代からニホンジカの増加が顕著になり、期を一にしてトウヒ林の衰退とミヤコザサ草地の拡大が始まった。ニホンジカが植生の変化に及ぼす影響について、保全生態学の観点から講義する。